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平成23年度夏学期(前期)講義・実験実習内容

〔講義〕 先端光科学講義 I
開講時期: 4〜7月 月曜日2限目(10:15 〜 11:45)
教室: 東京大学本郷キャンパス 理学部化学本館5階講堂
日付 タイトル
担当
内容
4/25(月) 重力波天文学が生み出した新しいレーザー技術
電気通信大学 レーザー新世代研究センター 植田憲一
ダイナミックな宇宙像を観測しようとする重力波天文学は量子雑音限界を追求する超高安定化レーザーを要求する。極限レーザーの追求が、その副産物として産業用キロワット出力ファイバーレーザーや核融合用セラミックレーザーを生み出してきた。科学研究と技術開発の相互刺激の一つのあり方を示しながら、新しい光科学研究の方向を検討する。

キーワード:ファイバーレーザ,セラミックレーザ,周波数安定化,重力波天文学,レーザー核融合

5/9(月) 光学産業における光学技術
株式会社ニコン コアテクノロジーセンター 森 孝司
光学産業で行われている研究開発の事例を紹介しながら、大学の光学教育であまり触れられない幾何光学・収差論・結像論の要点を解説する。光学産業をより身近に感じるための講義である。

キーワード:光学,光学産業,幾何光学,結像

5/16(月) 表面プラズモン増強のエレクトロニクスへの応用
日本電気株式会社 大橋啓之
NECで発見された表面プラズモンにより微小な光を操作する技術は、シリコンナノフォトダイオードの発明およびそのLSIチップ光配線技術へと進歩している。この現象の発見から開発に至る経緯、および光配線、テラヘルツ波、光記録への適用についてこれまで行われた研究開発を紹介する。また、メタマテリアルへの展開についても述べる。

キーワード:表面プラズモン,近接場光,メタマテリアル,光配線,ナノフォトダイオード,光アンテナ

5/23(月) レーザによる微細加工技術
オムロン株式会社・オムロンレーザーフロント株式会社 戸川拓哉
レーザ加工は、自動車、液晶、電子機器など主要な産業分野において、その高いエネルギ密度、選択的加工などの特徴を活かした応用が拡がっている。特に微細加工の基本的な原理と、実際の各種デバイスの生産事例を紹介し、産業用途で要求されるレーザ加工の特徴と加工品質を学ぶ。

キーワード:レーザ加工,微細加工,自動車,液晶,太陽電池

5/30(月) レーザーを応用した光ファイバ通信等の測定・評価技術
横河電機株式会社 三浦 明、高木 真人
光ファイバ通信技術の変遷、最新技術動向を理解し、光ファイバ通信の品質評価に必要な測定・評価方法、およびレーザー応用計測を学ぶ

キーワード:レーザー応用計測,光ファイバ通信,OTDR(Optical Time Domain Reflectometer),BER(Bit Error Rate),波長分散,偏波モード分散

6/6(月) ランプによるUV光及びVUV光の発生方法と産業界での光の応用
ウシオ電機株式会社 森本幸裕
ガス放電ランプの内、紫外(UV)域から真空紫外(VUV)域の光を発するランプの発光原理について解説し、ランプを作る上でのキーポイントを説明する。そして、UVランプ、VUVランプの産業界における応用について学ぶ。

キーワード:ランプ,原子・分子・エキシマ発光,紫外光,真空紫外光,光化学反応,フォトリソグラフィ、データプロジェクター

6/13(月) 回折光学からナノ光学まで
キヤノン株式会社 オプティクス技術開発センター 山田朋宏、黒田 亮
格子干渉計測技術(ナノ計測)、超解像リソグラフィ技術やナノ光加工技術、色収差補正の望遠レンズやプラズモニックカラーフィルタ(ナノ光学素子)について、基本動作原理と産業応用の実例について解説する。

キーワード:光計測,光加工,回折光学,ナノ光学

6/20(月) 光ディスクの原理と将来動向
株式会社リコー 北林淳一
小さな光ディスクに詰め込まれた様々な技術について、その歴史や構成を解説しながら、基本原理や仕組みを学ぶ。詳細には、再生系と記録系におけるドライブやメディアの違いを通して、個々の要素技術を分りやすく解説する。さらに、これまでの限界を打ち破る将来有望な光メモリについて、いくつかの例を紹介する。

キーワード:光ディスク,回折,偏光,集光,検出,レーザー制御,記録,再生

6/27(月) 光の量子性と光子計数法
東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センター 小芦雅斗
東京大学大学院理学系研究科 五神 真
輻射場の量子性について、説明し、光と物質の相互作用におけ る光の量子効果について解説する。さらに実習と関連し、光の量子論的制御法 とその検出法についても解説する。

キーワード:光と物質の相互作用,コヒーレンス,単一光子光源

7/11(月) 空間光変調器とその応用
浜松ホトニクス株式会社 中央研究所 井上 卓
位相変調型空間光変調器は、光の位相の空間分布=波面を制御することができる。波面制御によって収差補正・ビーム分岐・ビーム形状制御が可能なため、レーザー加工や眼底イメージング、顕微鏡などへの応用が研究されている。空間光変調器の原理、性質、使用上の注意と、各種の応用事例を説明する。

キーワード:光学,光波面,光計測,レーザー加工,光計測,適応光学,光渦

7/25(月) 光MEMSデバイスと画像処理の応用について
株式会社ブイ・テクノロジー 水村通伸
画像処理は、観測、認識、計測、3次元画像生成など多岐にわたり応用されている。これら画像処理と呼ばれるものは、ある物体像をデジタルデータ化し、コンピュータにデジタルデータとして取り込んだ時点以降からの処理になる。デジタル画像は2次元座標系の関数とみなせるため、さまざまな数学的な演算処理を定義することができる。演算としては四則演算、論理演算や代数演算といった演算を行うことができ、用途に応じてさまざまな演算処理が画像処理として行われている。

本講義では画像処理の一連の流れを理解できるよう、一般的なデジタル画像取得方法から映像信号の取り扱いなどについても簡単にふれ、さらに最新の光MEMSデバイスを適用した画像処理の応用例をいくつか取り上げ、さらに2つの画像の相似性の議論から導き出される相関係数がすべての画像処理と深く関係していることを紹介する。

キーワード:画像処理,デジタル画像,相関,MEMS


〔実験実習〕 先端光科学実験実習 I
開講時期: 4〜7月 火、水、木曜日の各曜日3-5限目(13:00〜17:00)
教室: 東京大学本郷キャンパス 理学部化学本館地階1003号室
日付 タイトル
内容
4/26(火),
27(水),
28(木)
紫外レーザー製作
電気通信大学 レーザー新世代研究センター 米田仁紀
紫外線レーザーの1つである、窒素レーザー(337nm)を放電回路、始動ギャップ、伝送線路等から製作し、レーザー発振を起こさせることを目的としています。また、得られたレーザーにより色素レーザーを励起してその蛍光特性も観測します。(5名)

キーワード:紫外レーザー,放電,窒素レーザー

5/11(水),
12(木),
両日とも
受講可能な
者のみ
レンズ設計・基礎から実戦まで
株式会社ニコン コアテクノロジーセンター 大瀧 達朗 、森 孝司、田中 麻利江、竹中 修二
レンズ設計実習を通じて幾何光学、波動光学に関する基礎を会得する。受講者全員にノー トパソコンを貸与し、光学設計の専門家がレンズ設計ソフトを用いて指導する。結像の際に生じる収差の見方、レンズの特性等の基本的な内容から、最終的にカメラレンズの自主設計まで行う。2回の実習で完結し、設計結果講評会で締めくくる。(15名)

キーワード:レンズ,光学設計,収差,MTF(Modulation Transfer Function)

5/17(火),
18(水),
19(木)
メタマテリアルを作る
日本電気株式会社 大橋啓之、中村 滋、安道徳昭、白根昌之、鳥屋尾 博、高橋重樹、服部 渉、田能村昌宏
表面プラズモンによる微小開口透過光増強現象をEbbesenが発表した時、Natureはこの現象を「電子レンジの扉の小さな穴からマイクロ波がでてくるかもしれない発見」と紹介した。実験では、電子レンジから制御された形でマイクロ波を取り出すメタマテリアルを、測定方法や安全面での検討もしながら作製する。(9名)

キーワード:近接場,電子レンジ,メタマテリアル,電磁プローブ

,アンテナ
5/24(火),
25(水),
26(木)
レーザによる微細加工技術
オムロン・オムロンレーザーフロント株式会社 戸川拓哉、三浦泰祐
高出力のUV固体レーザを用いた各種の透明材料の微細加工の実習を行う。分光特性、加工特性の違いを考察することにより、非線形吸収などレーザと物質の相互作用の理解を深め、レーザ加工のメカニズムを学ぶ。また、レーザマーキングに用いられるスキャナによる高速の描画も体験する。(8名)

キーワード:レーザ加工,微細加工,UV固体レーザ,レーザマーキング,非線形吸収

5/31(火),
6/1(水),
2(木)
レーザーを応用した光ファイバ通信等の測定・評価実習
横河電機会社 飯田力弘、柳澤 幸樹、高木真人
光ファイバ通信における光ファイバ線路で必要となる測定技術、およびレーザー応用計測に関して、実習を通して学び、理解を深める。(6名)

キーワード:レーザー応用計測,光ファイバ通信,OTDR(Optical Time Domain Reflectometer),BER(Bit Error Rate),波長分散,偏波モード分散

6/7 (火),
8(水),
9(木)
UV光の分光法と光化学反応の体験実習
ウシオ電機株式会社 森本幸裕、小田史彦、森安研吾
放電ガス圧力の変化による放射スペクトルの移り変わりを分光測定し発光現象と分光法を理解して頂く。また、波長の異なるUV光をガラスに照射して水に対する濡れ性の変化に触れ、光化学反応の波長依存性を体験実習する。(6名)

キーワード:エキシマランプ,超高圧Hgランプ,モノクロメータ, 光化学反応,ガスの光吸収スペクトル,オゾン発生

6/14(火),
15(水),
16(木)
ナノ光計測制御
キヤノン株式会社 オプティクス技術開発センター 黒田 亮、山田朋宏
回折光学素子にレーザー光を照射し生成した回折光同士を干渉させ、干渉縞の位置を計測する。回折格子にピエゾ素子を取り付け微動させると、微動距離に応じて干渉縞が変位する。逆に干渉縞の位置変化からナノメートルオーダーの変位量を計測できる事を体感する。電気系・光学系の複合フィードバック制御により、ナノメートルオーダーの精度で所望の位置に固定・移動等の精密制御が可能であることを確認する。(6名)

キーワード:干渉,回折,光計測,フィードバック制御

6/21(火),
22(水),
23(木)
光ディスクの中身を覗く
株式会社リコー 横井研哉、大内田茂、戸村辰也、北林淳一
光ピックアップの焦点検出とトラック検出の信号観測や、光ディスクの記録再生実験を通して、その原理について学ぶ。また、回折限界まで光を絞り込むための、光学調整の難しさを体験する。さらに、実際のDVDドライブ(市販品)を分解しつつその構造を知る。(10名)

キーワード:光学素子,回折,偏光,集光,検出,レーザー制御,再生,変動,マージン

6/28(火),
29(水),
30(木)
光子相関計数法とその応用
東京大学大学院理学系研究科・工学系研究科 吉岡孝高、小西邦昭
講義と連携し、光子相関計数法の実習を行う。2次の相関 に関する簡単な解説を行った後、光子計数法による2次の相関計測実験を実際 に立ち上げる。計測機器の特性や使用法を学んだ上で、レーザー光や熱的光の 光子統計性を調べることで古典的な光や量子光学的な光の識別法について理解を深める。(6名)

キーワード:光子計数法,HBT干渉計,量子光学

7/12(火),
13(水),
14(木)
空間光変調器を用いた光の空間的性質制御
浜松ホトニクス株式会社 中央研究所 井上 卓、松本直也、瀧口優
空間光変調器(SLM)を用いた空間的フーリエ変換光学系を構築し、光波面の基本的な性質を調べる実験を行う。SLMで回折、収差、光渦などを生成し、その特性を計測することを通じて、SLMの使い方を習得すると共に、光学系の基本的な性質を体感する。(8名)

キーワード:空間光変調器,光学,液晶,フーリエ変換光学系,収差,回折,光渦(ラゲールガウスビーム)

7/26(火),
27(水),
28(木)
DMDによる映像表示および画像解析に関する実習
株式会社ブイ・テクノロジー 水村通伸、滝本政美
MEMSデバイスとしては、自動車関連では加速度センサを使用したエアバッグシステムや駆動制御パーツとしての圧力センサ、医薬関連では血圧センサなどがあるが、もっとも商業的に成功したものとして米国テキサスインスツルメンツ社の開発したDMDチップがビデオプロジェクタに採用され量産されている。DMDはDigital Micro-mirror Deviceの略であり、約13μm角のマイクロミラーが縦1024列、横768行の2次元で配置され、それぞれが電気制御信号により9800frames/sec以上の速度で+12°から−12°に傾けることができるものである。 本実習では、このDMDチップを使用した簡易的な投影プロジェクタ実験装置により、デジタル映像データを変換、ミラー駆動タイミングを制御してスクリーンに映像として投影し、具体的な画像処理の応用として実習する。また、他の画像処理応用例としてDMDチップを使用した非接触3次元表面形状測定顕微鏡により画像を取得し、これを画像処理することでサンプルの表面形状を測定する。さらに同顕微鏡を使用して焦点の異なる画像を取得し、それらの相関係数を導出して正確な焦点位置と焦点深度を検討する。 (5名)

キーワード:DMD,画像処理,デジタル画像,相関,MEMS