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6月4日(月),電気通信大学 植田憲一 特任教授による先端光科学講義T「科学と技術の再結合を考える」が開講されました.6月5日(火)〜7日(木),電気通信大学レーザー新世代研究センター 米田仁紀 教授による先端光科学実験実習T「種々のレーザー基礎実験」が開催されました.

講義では、これからの日本の科学技術の発展を担う大学院生に対して,研究では失敗を恐れずに何度も試行錯誤し,失敗の経験から学ばなければならない,というメッセージを伝えていただきました.エキシマレーザーの開発や高耐力レーザーミラーの開発など,先生ご自身の研究活動について解説いただきながら,経験を通して誰も知らないことを獲得し,自分の考えを正しいと感じることができるようになることが研究生活であるというアドバイスをいただきました.

実験実習では、本実習では,4種類のレーザー実験を実施しました. ・レーザーピンセットを作って粒子を止める  光はエネルギーを持っているため,物質に照射することで力を与えることができます.非常に微弱な力ですが,この力を利用して微粒子をトラップすることができます(レーザーピンセット).本実習では,光を10μm程度まで集光して微粒子をトラップし,トラップされた様子を顕微鏡で観察しました.レーザーを小さく,きれいに集光するために,集光レンズと光軸を一致させ,さらにトラップされた微粒子を観察するために高倍率顕微鏡の観察領域も一致させる必要があるなど,精密なアライメント技術が求められました.最後に,微粒子をトラップさせた状態でレーザーの集光位置を少しずつ動かすことで,微粒子の位置操作にも挑戦しました. ・窒素レーザーを作る  空気の大部分は窒素で構成されています.窒素分子にエネルギーを与え,励起された窒素分子が遷移する際に発生する光を使ってレーザーを発振させます.窒素レーザーは身の回りにあるもので構築することができる数少なレーザーで,本実習でも,アルミホイル,アクリル板,銅板,クリアケース,金属棒など,簡単に手に入るものを使用しました.窒素レーザーの特性や発振の原理を理解し,ゼロから手作業でレーザーを組み上げました.窒素レーザーで発振する光は目に見えない紫外光ですが,色素溶液に照射することで可視光のレーザーに変換する実験も行いました. ・LD励起個体レーザーを発振させる  半導体レーザー(LD)を励起光として,固体レーザーを発振させました.レーザーとして発振させるためには,励起光を10μm程度に集光し,レーザー結晶上で十分な励起高強度を実現する必要があります.さらに,発振光を球面鏡でレーザー結晶上に再集光し,共振器を構成しました.10μmという小さなビームスポットを結晶上で空間的に重複させるために,ビームモニタを使って試行錯誤しながらレーザーシステムの調整を行いました.レーザーの発振後,回転シャッターを使ってQスイッチレーザーへと拡張することで,高ピーク強度のレーザー光発振にも挑戦しました. ・ラマン分光装置  レーザー光を試料に照射すると,入射光の波長とは別に,分子構造を反映した波長のラマン散乱光が発生します.非常に微弱なラマン散乱光の波長特性を計測するための高感度分光器を構築しました.なるべく分解能の高い分光器とするために,試料からの発散光を平行光に変換したり,光学素子を精密に配置したりといった,基本的な光学技術を学びました.溶液試料からの信号を分光器に導き,分光された光を高感度CCDカメラで検出することで,ラマン散乱光の波長スペクトルを計測しました.

本実習では、「先端光量子アライアンス」ならびに「東京大学工学系研究科附属光量子科学研究センター」にご支援いただき、修士課程学生の柳生右京さん(東京大学大学院工学系研究科)にティーチングアシスタントとしてお手伝いいただきました。

2018 June 4〜June 7 電気通信大学レーザー 新世代研究センター 講義・実験実習風景